イベント管理ツールの選び方【比較で見るべき10の基準】
「スプレッドシートとメールでは回らなくなってきた」「実行委員の引き継ぎのたびに資料がバラバラになる」。そんなときに検討するのがイベント管理ツールです。ただ、ひとくちにイベント管理ツール(イベント管理システム、イベント管理SaaS)といっても、セミナーの参加受付向け、チケット販売向け、展示会向け、地域のお祭りやマルシェ向けなど、得意分野は大きく異なります。この記事では、特定の製品名ではなく、比較するときに見るべき基準を中心に選び方を整理します。
まず「何を管理したいか」を決める
ツール選びでいちばん多い失敗は、機能の多さで選んでしまい、自分たちの業務に合わないことです。比較を始める前に、イベント準備で困っていることを書き出しましょう。
| 困りごとの例 | 必要になる機能 |
|---|---|
| 出店者の応募がメール・DMに散らばる | 募集ページ、応募フォーム |
| 誰が審査済みか、書類提出済みかわからない | ステータス管理、書類回収 |
| 区画図と名簿が合わない | 会場マップ、区画割当 |
| スタッフのシフト調整が大変 | スタッフ管理、シフト作成 |
| 準備の抜け漏れ | タスク・チェックリスト |
| 出店者への連絡漏れ | 一斉メール、連絡履歴 |
| 来場者への告知ページがない | 公開イベントページ |
| 参加者の受付・チケット販売 | 申込受付、決済、チケット |
お祭りやマルシェの主催者であれば、「出店者」と「会場」と「スタッフ」の管理が中心になることが多く、セミナー向けの参加者受付ツールとは求める機能が異なります。
比較で見るべき10の基準
1. イベントの種類に合っているか
参加者の申込受付が中心なのか、出店者の管理が中心なのかで、ツールの設計思想は大きく違います。導入事例や機能一覧を見て、自分たちと同じ種類のイベントを想定しているかを確認しましょう。
2. 必要な機能がそろっているか
上の表で洗い出した「必要な機能」を満たしているかを確認します。すべてを満たすツールがない場合は、優先度の高い機能から判断します。
3. 情報が一か所にまとまるか
応募情報、書類、区画、連絡履歴が別々のツールに分かれていると、結局スプレッドシートに転記する作業が残ります。応募から当日までの情報がつながっているかは重要な比較ポイントです。
4. 出店者・応募者側の使いやすさ
主催者が使いやすくても、出店者が応募しにくければ応募は減ります。アカウント作成が必須か、スマートフォンから応募できるか、書類の提出が簡単かを確認しましょう。
5. 複数人で使えるか
実行委員会は複数人で動きます。メンバーの招待、権限の分け方、同時に作業したときの扱いを確認します。
6. 料金体系
無料プランの有無、有料プランの課金単位(月額・イベント単位・出店者数など)、年に数回しか開催しない場合のコストを確認しましょう。開催がない月にも費用がかかるかは、地域イベントでは見落としやすい点です。
7. データの出力(CSVなど)
名簿を保健所や会場への提出資料に使ったり、会計処理に使ったりする場面は必ずあります。CSVなどでデータを書き出せるか、ツールをやめたときにデータを持ち出せるかを確認しましょう。
8. 引き継ぎのしやすさ
実行委員は毎年入れ替わることがあります。前年のイベントを複製できるか、過去の出店者に案内できるかなど、翌年以降の運用もイメージしておきます。
9. セキュリティと個人情報の扱い
出店者やスタッフの連絡先を預けることになります。運営会社の情報、プライバシーポリシー、アクセス権限の設定を確認しましょう。
10. サポートと情報の充実度
使い方ガイドやヘルプページが整っているか、問い合わせ窓口があるかを確認します。ITに詳しくないメンバーがいる実行委員会では特に重要です。
イベントの種類別に重視したい機能
同じ「イベント管理」でも、イベントの種類によって優先すべき機能は変わります。
| イベントの種類 | 重視したい機能 |
|---|---|
| お祭り・地域イベント | 出店者の募集と審査、書類回収、区画割当、スタッフのシフト、準備チェックリスト |
| マルシェ・クラフトフェア | 募集ページと応募フォーム、ジャンル別の管理、区画割当、出店者への一斉連絡 |
| 野外フェス | 出店・出演者の管理、スタッフ配置、会場マップ、来場者向けの公開ページ |
| セミナー・勉強会 | 参加申込の受付、リマインドメール、オンライン配信との連携 |
| 有料の公演・大会 | チケット販売、決済、入場管理 |
自分たちのイベントが複数の性質を持つ場合(例:有料チケットのあるフェスで出店者も募集する)は、一つのツールですべてを賄うのか、役割ごとにツールを分けるのかも検討しましょう。分ける場合は、ツール間でデータを移すための出力機能や、情報の二重管理が発生しないかも確認が必要です。
無料プラン・トライアルで確認したいこと
実際に試すときは、機能を眺めるだけでなく、次のような「一連の流れ」を通してみるのがおすすめです。
- 募集ページを作り、スマートフォンから自分で応募してみる
- 届いた応募のステータスを変え、担当者どうしで状況を確認してみる
- 出店者に書類の提出を依頼し、提出状況を一覧で確認してみる
- 会場図に区画を作り、出店者を割り当ててみる
- 確定した出店者だけに一斉メールを送ってみる
- 名簿をCSVで書き出し、普段使っている表計算ソフトで開いてみる
この流れで引っかかる箇所がなければ、実際の運用でも定着しやすいはずです。無料プランで使える範囲(イベント数・出店者数・機能の制限)もあわせて確認しておきましょう。
比較表のテンプレート
候補を比較するときは、次のような表に整理すると判断しやすくなります。
| 基準 | 重要度 | 候補A | 候補B | 候補C |
|---|---|---|---|---|
| イベントの種類との相性 | 高 | |||
| 出店者募集・応募フォーム | 高 | |||
| ステータス・書類管理 | 高 | |||
| 会場マップ・区画割当 | 中 | |||
| スタッフ・シフト管理 | 中 | |||
| 一斉連絡 | 高 | |||
| 公開ページ | 中 | |||
| 料金(年間の想定額) | 高 | |||
| CSV出力 | 中 | |||
| 複数人での利用 | 高 |
重要度は自分たちのイベントに合わせて付け替えてください。
導入の進め方
- 困りごとと必要機能を書き出す(上記の表)
- 候補を2〜3に絞る
- 無料プランやトライアルで実際に試す — 過去のイベントや小さなイベントのデータで、募集ページ作成から一斉連絡まで一通り触ってみる
- 実行委員の数人で使ってみる — 担当者一人ではなく、ITに詳しくないメンバーにも触ってもらう
- 次のイベントの一部から導入 — いきなり全業務を移すのではなく、出店者募集など一部から始める
導入で失敗しやすいポイント
- 機能の多さだけで選ぶ — 使わない機能が多いと、画面が複雑になり定着しません
- 一人で決めて一人で使う — 担当者しか使えない状態では、引き継ぎで元に戻ります
- 既存の運用をそのまま移そうとする — ツールに合わせて運用を少し変えたほうが効率化できることもあります
- 出店者側の体験を確認しない — 応募者として実際にフォームから応募してみましょう
- 年間コストを計算しない — 月額料金だけでなく、開催頻度を踏まえた年間の費用で比較します
お祭り・マルシェ向けならイベイロという選択肢
イベイロは、お祭り・マルシェ・フェスなど地域イベントの主催者向けに作られたイベント管理SaaSです。出店者募集ページと応募フォーム、審査ステータス管理、書類回収、会場マップでの区画割当、スタッフのシフト管理、準備チェックリスト、出店者への一斉メール、CSV出力、公開イベントページを一つにまとめています。現在は先行公開中のため無料ですべての機能を使えるので、比較の候補の一つとして実際に試してみてください。出店者管理の考え方は「出店者管理の方法」でも詳しく解説しています。
よくある質問
Q. イベント管理ツールとイベント管理SaaSの違いは?
厳密な区別はありません。SaaSはインターネット経由で利用するサービス形態を指し、ソフトのインストールが不要で、複数人が同じデータにアクセスしやすいのが特徴です。現在のイベント管理ツールの多くはSaaS型です。
Q. 年に1回しか開催しなくても導入する価値はありますか?
準備期間は数ヶ月に及ぶため、年1回の開催でも管理の手間は大きくなります。無料プランの範囲で使えるか、開催期間だけ有料プランにできるかなど、料金体系を確認して判断しましょう。
Q. スプレッドシートからの移行は大変ですか?
一度にすべてを移す必要はありません。次回のイベントの出店者募集から新しいツールで受け付け、過去のデータは必要に応じて参照する形なら、負担を抑えて移行できます。
Q. ITに詳しくないメンバーが多くても使えますか?
選定時に、実際に使うメンバーに試してもらうことが大切です。画面のわかりやすさ、スマートフォン対応、使い方ガイドの有無を確認しましょう。
Q. 導入はいつ頃から始めるのがよいですか?
出店者募集を始める前に導入しておくと、応募の受付から一貫して管理できます。次のイベントの募集開始の1〜2ヶ月前には候補を絞り、試用を始めておくと余裕があります。
Q. 無料プランだけで運用できますか?
イベントの規模や必要な機能によります。無料プランで使える範囲を確認し、まずは小規模なイベントや出店者募集など一部の業務で試してから、必要に応じて有料プランを検討するのが無理のない進め方です。